埼玉大学経済学部の総合型選抜入試で実施される小論文の傾向と対策について、サクセス未来塾の大学受験部部長が解説をしていきます。
埼玉県唯一の国立大学である埼玉大学の経済学部は、学部設置から60年もの歴史をもち、現在では4つのメジャー制による専門教育と卒業研究必修を通じて、基礎学力・複眼的思考・グローバル展開力を備え自ら問題を発見・解決できる人材を育成している学部です。
2025年度入試の総合型選抜では、募集人員15名のところ、志願者45名という狭き門でした。志願倍率3.0です。
また、出題される小論文の課題文についても、
「自ら問題を発見し、分析し、解決することができる人材の育成」
といった埼玉大学経済学部の「教育研究上の目的」に合わせた、受験生には非常に難易度の高い出題となっています。
こちらの記事では、公開されている総合型選抜の小論文の過去問をもとに、埼玉大学経済学部の総合型選抜の小論文の傾向と対策について紹介していきます。
埼玉大学経済学部の総合型選抜の
- 小論文の出題形式がわかる
- 小論文の出題意図がわかる
- 小論文の出題の傾向がわかる
- 小論文の対策の方法がわかる
目次
埼玉大学経済学部の総合型選抜の小論文では、60分で3000字の課題文を読み、600字を書かなくてはならない!
埼玉大学経済学部の総合型選抜の小論文出題形式
埼玉大学経済学部の総合型選抜の小論文の出題は、
- 試験時間は60分
- 設問は2題
- 設問1は、内容の要約や課題文の理解を確認するための問題(200字程度)
- 設問2は、課題文の内容を踏まえて自分の考えをまとめる問題(400字)
となっています。
課題文については年度によりますが、3000字程度の文章が提示されます。
自分の考えを400字で書くのは、小論文としては短いです。
ただし、課題文が3000字と長いため、しっかりと内容を理解するのに時間が必要です。
膨大な情報を短時間で理解し、要点を整理する力が試されます。
埼玉大学経済学部の総合型選抜の小論文で求められるのは、「大学での学びに求められる基礎学力」「国内外の社会への問題関心」「論理的思考力・表現力の基礎となる読解力」
埼玉大学経済学部の総合型選抜のアドミッション・ポリシーには、以下のような項目があります。
経済学部の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)
大学での学びに求められる基礎学力、国内外の社会への問題関心、論理的思考力・表現力の基礎となる読解力
埼玉大学HP 経済学部の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー) より抜粋
埼玉大学経済学部の総合型選抜の小論文では、このような能力を見ています。
そのため、社会の出来事に関する知識・興味・関心はもちろん、3000字もの課題文を正確に読解し、自分の考えを論理的に表現する能力が求められているのです。
埼玉大学経済学部の総合型選抜での小論文は、「現代社会の課題を多角的に分析し解決策を論じさせる」出題
埼玉大学経済学部の「4つのメジャー」
埼玉大学経済学部では、以下の4つのメジャーから構成される専門教育体制を採用しています。
メジャー01 経済分析
メジャー02 国際ビジネスと社会発展
メジャー03 経営イノベーション
メジャー04 法と公共政策
埼玉大学経済学部HP「経済学部について」
埼玉大学経済学部の総合型選抜の小論文では、これら4つのメジャーそれぞれの領域とリンクしたテーマが出題されています。
埼玉大学経済学部の総合型選抜の小論文出典・テーマ
過去3年の小論文の題材とテーマは以下のようになっています。
年度 | 課題文(著者・書名) | テーマ |
---|---|---|
2025 | 藤本隆宏(編)『工場史: 「ポスト冷戦期」の日本製造業』 | 日本製造業の存続戦略 |
2024 | 嶋是一『第55回 気になるこの用語ーChatGPTとLLM』 独立行政法人国民生活センター『ウェブ版国民生活』〈No.129・5月号〉 | 生成AIの活用と課題 |
2023 | 吉田徹『くじ引き民主主義ー政治にイノベーションを起こすー』 | 民主主義改革としてのくじ引き制度 |
以上のように、経済学・経営学・政治学・情報学を含む社会科学全般にわたり、現代社会の課題を多角的に分析するテーマが出題されています。
そのため、特定の分野について対策をしておくということは難しいですが、現代社会におけるさまざまな課題に日頃から興味・関心を持っておくことは重要です。
埼玉大学経済学部の総合型選抜での小論文の時間配分は20分・10分・30分
60分という試験時間で、3000字の課題文を読解し、2つ設問に回答するのは決して簡単ではありません。
そのため、試験時間60分の効果的な使い方を参考までにご紹介します。
課題文の読解(約20分)
3000文字前後の課題文を正確に読み解くには、単に目で追うだけでは不十分です。
文章を正確に理解するには、繰り返し読んだり、重要な部分に印をつけたりする批判的な読み方が不可欠です。
また、問1は文章全体を踏まえての回答になるので、先に設問を読んでから課題文の読解に入った方がいいでしょう。
問1(約10分)
問1は、課題文の内容について200字程度で説明する問題です。
まず最初に設問を確認し、課題文のどの部分を意識して読むべきかを明確にしましょう。
その上で設問に関係しそうな部分に印をつけたり要点を簡単にまとめておきます。
設問を先に意識して読むことで、限られた時間内で効率的に答えをまとめることができます。
問2(約30分)
この設問が埼玉大学経済学部の総合型選抜の小論文試験のメインとなる問題です。
400字で自分の考えを文章にする手順は以下の通りです。
聞かれていることを正確に把握する
まずは、設問が何を求めているのかを正確に把握することが重要です。
小論文の演習では、「問われたことに答えていない」という失敗がよく見られます。
そのため、まずは「設問が何を聞いているのか」をしっかり確認し、そのうえで自分の考えを整理して書きましょう。
構成を考える
小論文を書くときに重要なのは、すぐに書き始めるのではなく、まず全体の構成を整理することです。
序論・本論・結論の流れを意識し、自分の意見をどう展開するかをあらかじめ決めておくと、論理的でわかりやすい文章になります。
また、限られた字数の中では、すべてを盛り込むことはできません。そのため、自分の意見を支える理由や根拠の中から、最も適切なものを選び、無駄のない構成を作ることが大切です。
構成をもとに論述する
構成を参考にして、400字の論述を行います。
段落の数としては、序論・本論・結論の3段落程度が理想的です。
客観的に自分が書いた論述を読んでチェック
自分が書いた論述を客観的に読んでみて、
- 説得力がある内容になっているか
- 筋が通らないところがないか
- 誤字や脱字がないか
などを確認しましょう。
学校や塾の先生に読んでもらい、指導を受けるのも効果的です。
埼玉大学経済学部の総合型選抜での小論文の対策は、サクセス未来塾にお任せください!
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